3月10~11日に第4回東日本大震災復興シンポジウムが福島・宮城で開催されました。また、3月11日には復興慰霊式が行われました。『記録集 東日本大震災から5年 中小企業家の絆』(編集・発行:中同協)の発刊にあたっての広浜幹事長の談話、シンポジウムで発表されたアピール、復興慰霊式での式辞を紹介します。また、震災から5年間の岩手・宮城・福島と全国での取り組みを写真で振り返ります。
未来へつなぐ中小企業家の実践記録
記録集発刊にあたって
東日本大震災から5年を迎えます。2011年3月11日14時46分の巨大地震、大津波、東京電力福島第1原子力発電所の事故は、被災地のみならず日本経済全体を揺さぶり、多くの経営者がかつて経験したことのない状況に直面しました。中同協では震災当日から被災地の状況を全国の同友会に発信するとともに、地震から3日後の3月14日に「中同協東日本大震災復興対策本部」を設置。全同友会に義援金活動の取り組みを呼びかけ、翌日には日本海側からの支援物資の搬送ルートを確保。各同友会から続々と寄せられてくる支援物資を送り、被災地を励ましました。
東日本大震災から1年、2012年3月に「強い絆のもと、われら断じて滅びず!」とのメインテーマのもと第42回中小企業問題全国研究集会を福島県郡山市で開催。被災地会員の強い決意と行動は、全国の会員を大いに励ましました。また同時に、東日本大震災記録集『中小企業家の絆』を刊行。被災地および中同協、全国の同友会の震災直後からの動きをまとめて記録集とし、復興へ向けたさらなる活動の展開へ向け、また教訓として末長く各地の活動にも生かせるものとしてまとめています。
東日本大震災から2年、地域経済と中小企業を尊重した復興が重要な課題となりました。中同協では2012年11月に、東日本大震災復興推進本部研究グループ「REES」※を立ち上げ、大震災の経験を風化させず、政策的対応を促進させ、原発・エネルギー問題を深めるための活動に取り組みました。そして2013年3月第1回東日本大震災復興シンポジウムを福島県福島市で開催、福島同友会相双地区会では『逆境に立ち向かう企業家たち』を発刊しています。
東日本大震災から3年。被災地での懸命の努力が続けられ、中同協では2014年3月第2回東日本大震災復興シンポジウムを岩手県盛岡市で開催。「エネルギーシフトと仕事づくり、地域づくり」をテーマに、2013年10月に実施した「ドイツ・オーストリア視察」の成果から中小企業家エネルギー宣言(案)を検討。エネルギーシフトを提起するにいたりました。
東日本大震災から4年。復興への課題の大きさが明らかとなっています。南三陸では震災復興・地域づくりに懸命な努力を続け、「点」(企業努力)から「線」(企業間ネットワーク)、「線」から「面」(行政を巻き込んだ地域づくり)の動きが見られ、南相馬では原発事故と向き合いながら、風評被害や震災の風化、慢性的な人手不足、資材不足という逆境の中、同友会の会員は企業活動を通じて、地域再生に懸命に努力しています。陸前高田では新たなエネルギーと経済の循環の「しくみ」をめざす取り組みが始まっています。
そして、東日本大震災から5年。私たちはこの5年の教訓をここにまとめ、未来をつくるべく本記録集『記録集 東日本大震災から5年 中小企業家の絆』を刊行いたします。中小企業家は地域の歴史や文化をつなぎ、逆境に立ち向かい、未来にむけてたゆまない努力と実践を続けています。この実践の教訓は必ずや100年後の未来にもつながっていくものと確信いたします。
中同協幹事長 広浜 泰久
※REES…The recovery from the Great East Japan Earthquake & the Shift to a“sustainable society”
(東日本大震災からの復興と持続可能な社会をめざして)