東日本大震災から6年が経過した3月3日、年間30万人の集客力を誇った仮設商店街「南三陸さんさん商店街」が常設商店街として新設され、たくさんの観光客らでにぎわいました。
設計は新国立競技場を手がけた建築家、隈研吾氏が手がけ新商店街には地元産の南三陸スギが使われました。店内には地元の28店が入り、うち23店は仮設商店街から移りました。 セレモニーでは、テープカットと同時に、幼稚園児や商店主らが風船を空に放ち、オープンを祝いました。
商店街を運営するのは(株)南三陸まちづくり未来代表の三浦洋昭氏(宮城同友会南三陸支部副支部長)は、「日本全国、世界各国からお越しいただける町を目指し、復興の見本となれるよう努力します」と宣言しました。
東日本大震災では南三陸町は全事業所の約9割強が被災をしました。震災後から早急に支部会員が結集し、「社員は俺たちが守っていくしかない」、「地域の中小企業が立ち上がらなければ地域の復興はない」と議論を重ねました。
その旗印として見えたのが、中小企業振興基本条例です。震災後、さまざまな課題が山積する中、復興の近道は地域住民、行政、企業、学校が一体となることだと考え、2016年度には中小企業振興基本条例の制定を目指すために全事業所調査を同友会が受託して実施、約300社から回答を得ることができました。
調査を通じて明らかになったことは(1)南三陸町内全事業所の約9割強が被災、(2)被災した企業の8割は1年以内に再開、(3)金融機関へ月次決算の提出、人材育成の仕組み、就業規則・賃金規定がある企業が早期の操業再開に結びついている、の3点です。
結果から、経営指針を成文化し実践していたかどうかが操業再開のスピードと地域の復興に直結していたことが明らかになりました。
2017年の南三陸支部方針は「震災から10年後の経営ビジョンを作成する~経営指針の実践~」です。復興の象徴となる条例の制定は2017年度秋ごろを予定しています。自社と地域の復興を一体とした取り組みはこれから始まろうとしています。