ニュース - シリーズ【絆―復興をめざして】

【絆―復興をめざして】第17回 福島のいま(最終回)生きるとは、暮らしを守るとは、人間らしく生きるとは

 福島同友会会員執筆の最後となりました。福島の現状と思いを伝える場を提供いただき、感謝致します。現在1800名の会員を取り巻く環境はさまざまです。その違いを越えて、新しい福島県づくりをめざし、同友会運動が進められるよう願っています。

 地震発生時、私は仙台におり、3日間の避難所生活を余儀無くされました。3月12日夕方、福島第1原発の爆発映像を見て、「もう住めないのか?」と生まれて初めて絶望的な気持ちになりました。幸い13日に帰宅でき、事務局で震災対応の指揮をとり始めました。その後の経緯は中同協発行の記録集などでご覧いただければと思います。ただ気になっているのは、各地同友会からの支援物資の受け入れを拒否したことです。原発事故の影響で県内は大混乱となり、燃料不足も重なって、新潟からの物資搬入は残念ながら、断念せざるを得ませんでした。今5年が経過し、当時私が理事長として判断し実施した活動は、会員のためになったのだろうかと時々考えることがあります。が、評価は後生に委ねたいと思います。

 しかし、1つ誇りを持って言えることは、会員は命懸けで「社員を守り、家族を守り、会社を守る」行動をした事実です。そして事務局員も、「会員企業を守り、同友会を守る」行動をしました。目に見えぬ放射性物質が浮遊する中、会員の安否を尋ね、被災状況を把握する作業に献身的に従事してくれたことに、感謝の気持ちで一杯です。会員と事務局は同友会運動のパートナーと言いますが、実際どれだけの方が実感されておられるでしょうか。幸いにも私は震災対応の中で、同志的交わりを経験することができました。

 さて、3月10~11日に行われた第4回東日本大震災復興シンポジウムの最中、赤石中同協顧問の訃報を聞くこととなりました。赤石さんには震災後幾度も福島にお越しいただき、学びと励ましをいただきました。福島の人々が一時は放棄せざるを得なかった言葉、「生きる、暮らしを守る、人間らしく生きる」は、今新たなる光を放っています。過酷な状況に置かれた福島だからこそ、メッセージを受け止め、「生きるとは、暮らしを守るとは、人間らしく生きるとは」を問い続けるのが、私たちの使命ではないかと思います。

 最後になりましたが、4月14日発生の熊本地震で被災された皆様に、心から御見舞い申し上げます。余震は未だ終息せず、心中如何ばかりかと推察致します。1日も早く生活を回復し、企業活動が再開出来ることをお祈り致します。

福島同友会顧問(前理事長) (株)建設相互測地社 代表取締役社長 安孫子 健一

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