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【特集】第4回東日本大震災復興シンポジウム 「生きる、くらしを守る、人間らしく生きる」を胸に「100年後の未来」へ

中同協幹事長 広浜 泰久氏

 この2日間、私自身いろいろな気づきがありました。それを3つのプロセスでお話しします。

 昨日、東京電力福島第一原発周辺の帰還困難区域を視察している時、赤石義博・中同協顧問がお亡くなりになったということを聞きました。私は「これは赤石さんからの最後のメッセージだ」と思いました。

 赤石さんからは本当に多くのことを教わりました。その中に、赤石さんが人類の根源的な願いとして捉えていた「生きる、くらしを守る、人間らしく生きる」ということがあります。

 しかし、今日視察をした地域では、この3つが大きく損なわれていました。この状況をどうしていくのか。「100年後の未来」をわれわれは託されたのだ、と受け止めました。これが1つ目です。

 2つ目は、赤石さんは同友会の自主・民主・連帯の精神の深い意味として、「生きる、くらしを守る、人間らしく生きる」があると話されていました。

 本日の報告にもありましたが、岩手同友会の「1社もつぶさない、つぶさせない」という取り組み、震災直後の全国の同友会からの支援、絆の強さなどは、自主・民主・連帯の精神の現れそのものです。

 震災直後の南相馬では大手のスーパーマーケットが休業する中、フレスコキクチ(福島同友会会員)だけが営業を続け、「生きる」「くらしを守る」ための手だてとなっていました。南三陸でも町長の「同友会がなければこの地域はなかった」との言葉が象徴するように、同友会会員が地域の復興に大変貢献しています。

 今は「災害の時代」です。日本全国、どこで何があってもおかしくありません。また災害がなくても地域が疲弊し、消滅市町村になっていくところがたくさんあると言われています。そうならないためにはどうするか、またどのような備えをする必要があるのかを提言するのもわれわれの課題です。

 3つ目ですが、宮城同友会の佐藤代表理事は、「地域の復興は同友会理念の総合実践だ」と断言していました。まさにそうだと思います。南三陸町の調査では、経営指針を成文化し実践していた企業は、事業再開のスピードが速かったということが明らかになっています。

 中小企業憲章や中小企業振興基本条例の運動にこれだけ深く関わっている団体、エネルギーシフトを提起している団体はありません。われわれこそが地域の復興のために使命を果たしていかなければなりません。そしてそのためには同友会づくりが必要です。

 人類の根源的な願いである「生きる、くらしを守る、人間らしく生きる」。本当にそれが実現できたと感じられる「100年後の未来」をわれわれがつくっていく。そのことを皆さんと確認してまとめとさせていただきます。

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