ニュース - シンポジウム

「100年後の未来にむけて」-中小企業家の誓い

 3月10~11日に第4回東日本大震災復興シンポジウムが福島・宮城で開催されました。また、3月11日には復興慰霊式が行われました。『記録集 東日本大震災から5年 中小企業家の絆』(編集・発行:中同協)の発刊にあたっての広浜幹事長の談話、シンポジウムで発表されたアピール、復興慰霊式での式辞を紹介します。また、震災から5年間の岩手・宮城・福島と全国での取り組みを写真で振り返ります。


第4回東日本大震災復興シンポジウム アピール

 あの3.11の東日本大震災から5年となる2016年3月10日、11日、私たちは第4回東日本大震災復興シンポジウムを開催しました。10日には福島県いわき市に集合し、5年を迎え、震災・津波からの復興と、未だ原発事故の被災の真っ只中にある「いま」を目と心に焼き付け、宮城県仙台市に入り、11日にシンポジウム、復興慰霊式を開催しました。

 被災地の同友会の仲間たちは、震災・津波・原発事故・風評被害という中、一方では生きる、そして暮らす喜びと楽しみを、そして一方では怒りや哀しみを心に抱え、たゆまない努力を続け、逆境に力強く立ち向かっています。

 東日本大震災から5年。私たち中小企業家は震災によって被害をうけた地域や産業の復興のみならず、原発事故によって絶たれた歴史、文化を取り戻し、未来をつくりだそうと懸命な努力と実践を続けています。

 2日間のシンポジウムを通じて、私たちはあらためて「強い絆のもと、われら断じて滅びず」という中小企業家の魂。「1社もつぶさない、つぶさせない」という中小企業家の絆。「地域に人を育て、地域に人を残す」という中小企業家の使命を再確認しあいました。

 そして、「震災から5年~100年後の未来への提案」をテーマに学びあい、語り合う中で、私たちはこの震災からの教訓を以下の5点にまとめて次世代につないでいくことを提案します。

 第1は、会員企業1社1社が労使見解に基づく経営指針の実践による「同友会型企業づくり」で地域の再生・復興の希望となっていくことです。

 第2は、今こそ中小企業憲章の精神を地域の中に伝え、広げていくことです。地域に新しい仕事をつくり出し、雇用を生み出す地域循環型経済にとりくむことで復興の光となっていくことです。

 第3は、エネルギーシフトの学習と実践です。再生可能エネルギーによる地消地産をめざすことで、中小企業の仕事と雇用を生み出し、持続可能で質の高い暮らしと仕事を総合的に地域全体で実現していくことです。

 第4は、自然災害への対応・対策を企業・地域・同友会の中で進めていくことです。企業においては事業継続計画(BCP)、各地域においては環境適応計画(レジリエントシティー)の策定が急がれます。

 第5は、同友会で学ぶ仲間を地域に増やしていくことです。被災地では同友会の大きさと強さが地域の再生と活性化につながったという教訓に確信を持ち、同友会運動を地域の隅々に広げていきましょう。

 私たちは、2日間の被災地視察とシンポジウムを通じて学びあい、語り合った教訓を各地に持ち帰り、同友会の仲間に伝え、広め、東日本大震災を決して風化させず、自らの課題として、その教訓を後世に伝えていくことを互いに誓い合い、本シンポジウムのアピールとします。


東日本大震災から5年 復興慰霊式 式辞

 あの3・11の東日本大震災から5年となる本日、ここ仙台市にて「復興慰霊式」を開催するにあたり、犠牲になられた方々に、謹んで哀悼の意をささげます。

 震災において1万9335名もの方々の尊い命が奪われ、5年という歳月を重ねた今もなお、失った大切なご家族や友人、亡くなった仲間や社員への想(おも)いは薄れることなく、その想いをつないでいこうと決意を固め、実践していることと拝察いたします。

 いまだ2600名の方々の行方が不明になったままです。5年という時の流れのなかで、その心中はいかばかりかと、つむぐ言葉もありません。

 さて、昨日、福島県いわき市に集合し、宮城県仙台市に入り、本日、シンポジウムを開催しました。あの3・11から5年が経つのに、震災直後から変わっていない原発事故の被害の無念さ、五感では感じることができない放射能被害の風景を目と心に焼き付けました。

 放射能によって土地や建物が使えなくなっただけではないということを感じました。人の暮らしそのものを奪い、その地域で人々が命をつなぎ、生活のいとなみを続けてきた歴史や文化が放射能によって絶たれてしまう原発事故は、二度と起こしてはならないと私たちは強く誓い、中小企業家の声として訴えていく必要があります。

 そのような状況の中で、たゆまない努力を続け、逆境に力強く立ち向かっている同友会の仲間の「中小企業家の魂」を強く感じました。

 中小企業家である私たちは、仲間との絆をよりいっそう深めて、地域に人を育て、地域に人を残す運動を広め、全国津々浦々で地域再生の光となっていくことが重要です。

 そのためには中小企業憲章・中小企業振興基本条例運動、エネルギーシフト、自然災害への対応などさまざまなことに取り組んでいく必要があります。

 われわれ中小企業家が社会的責任を果たし、それぞれの地域で同友会運動を広めることこそ100年後の未来に必ずやつながっていくと確信します。

 震災の教訓を「風化」させず、そして不屈の精神のもと、歴史、文化をつないで、未来をつくっていきましょう。

 中小企業家の強い絆のもと、未来にむけて同友会運動を一層広めることを誓い、本復興慰霊式の式辞といたします。

2016年3月11日

中小企業家同友会全国協議会 会長 鋤柄 修

▲ このページの先頭にもどる

中小企業家同友会のサイトへ中同協とは相双地区 震災記録集 電子書籍
© 2013 - 2024 中小企業家同友会全国協議会