企画、製造、販売オール気仙の味噌粕漬け(岩手)
岩手県大船渡市にある衆栄商事(株)(田村滿代表取締役、岩手同友会会員)は、東日本大震災前、ガソリンスタンドを経営していました。施設全てが流されてしまった田村社長は、すぐ会社の方針転換を決定します。
以前から地元大船渡で水揚げされた、新鮮な水産物への関心がありました。「鮮魚のまま域外へ配送することだけが、地域にとっていいことではない。域内で加工し、商品として思いを伝えることに付加価値があるのでは」。早速、同じく工場、事務所全てを失い、大船渡市に新工場を立ち上げた酒蔵・酔仙酒造(株)、陸前高田市の創業から200有余年の味噌醤油醸造元の(株)八木澤商店に声をかけ、それぞれの酒粕と味噌を生かした「味噌粕魚漬け」の発案をしました。
酒粕は原料米から水、造り手など、全て地元産にこだわった特別純米酒「多賀(たか)多(た)」の粕。陸前高田市内で栽培した「ひとめぼれ」を使用し、市内の子どもたちが田植えから刈り取りまで手伝い、仕込みまで地元気仙で仕上げました。味噌は岩手県産の米と大豆を使用した、10割糀の生味噌「おらほの味噌」。熱を加えることによって、芳香でまろやかな味わいになります。
そして要となる鮮魚を提供するのは、鮮魚・冷凍魚の卸売業を営む、陸前高田市(有)コマツ商店。被災した陸前高田市内の漁港に、水産加工関連業者が新たに工業団体を形成、原材料の調達から生産まで立地企業が連携することで、復興を果たしました。世界3大漁場と言われる三陸の海の、烏賊、鮭をはじめ、新鮮な幸を提供します。
この岩手同友会会員企業4社がオール気仙で連携、作り上げたのが、三陸けせん家・味噌粕漬け「うんみゃがすと!(美味しいですよ)」です。食材、製造、販売、全て気仙の新コラボ。香り、味ともにまさに「うんみゃがすと!」。これからの寒い季節に熱燗でいかがでしょうか。
(中小企業家しんぶん2014年9月25日号/2面より)