宮城県の南部に位置する亘理郡山元町。宮城県の湘南と呼ばれていて、温暖で第一次産業が盛んなイチゴとリンゴとホッキ貝で知られた町でした。あの東日本大震災から3年が経ち、1万7,000人だった人口が20%以上減少しています。
友人がここに住んでいたご縁があって、この町の復興のためにできることは何かと考えて、2013年に企業組合スルーエイジ農園を立ち上げました。私たちは交流人口の増大と雇用の拡大こそが、これからできる復興支援ではないかと思い、イタリアントマトの六次産業化を目指すことになりました。 “この指とまれ”で集まった仲間が12名(2014年度は十四名に増加)。年代も二十代から七十代の方々で、有職者がほとんどでした。
仙台市在住者が十名でしたので、毎週末には仙台市から山元町まで片道50kmの道のりを7~10人くらいで通い、農作業に精を出し、何とかハウスの建設もして、昨年はジュースの試作までこぎつけました。お陰様で商品にはとてもご好評をい
ただいております。
農地も多数津波に遭いましたが、町に除塩してもらった土地を借り受けハウスと露地栽培で土耕にこだわりました。今後は販売所や農家レストランなどを作り、交流の拠点と大きな雇用を継続して行えるような企業を目指しています。
これからも震災復興には同友会の基本理念、「自主」「民主」「連帯」を軸にして仕事づくりをすることが重要と思っています。
同友会の会員さんにもボランティアで入れ替り立ち替わり来て頂いて、応援していただいております。
作ってみたい方、食べてみたい方、飲んでみたい方、“このゆびとまと”が合言葉です。
企業組合スルーエイジ農園 副理事長 横野 洋卯子(宮城)
「中小企業家しんぶん」 2014年 7月 25日号より