胸を張って世界に誇れる岩手をつくる
<岩手県中小企業家同友会>
代表理事 田村 滿
代表理事 村井 良隆
代表理事 村松 幸雄
この10カ月は、同友会の底力を体感した日々でした。「こんな物資が足りない」と声を出すと、全国からすぐに必要なものをお届けいただきました。おかげで岩手の地域の隅々にまで物資をお渡しすることができました。
皆様には、どれだけ御礼を申し上げても足りないほど本当にお世話になりました。全国の皆様に支えていただいていることに感謝以外の言葉が見つかりません。心より深く御礼申し上げます。
沿岸には壊滅的なダメージを受け、先行きの展望がまだ見当もつかない地域が、多数あります。そんな中でも一歩ずつ前を向き、くらしの再興、地域の再生へ歩み始めています。中小企業は地域に根ざし、地域と共に生きています。こうした危機にこそ、長年育てていただいたお客様に対し、今こそ恩返しするときです。
地域の新たな未来をつくることは、地域に新しい「こと」を生み出していくことです。生み出す「もと」は、我われの中に幾らでもあります。さまざまな枠を越え、力を合わせ、新しいものを皆様と共に創っていくことが復興への第一歩だと思います。
今回の災禍でたくさんの方々が亡くなり、私たちはその犠牲の中で生きています。今まで人間は自然と対峙し、逆らって生きてきたように思います。これからは自然に畏敬の念を持ち、自然と共生できる生き方が必要ではないでしょうか。被災した岩手だからこそできる、地域内循環型エネルギーの実現や防災に関する、新たな時代の牽引役となることが求められているのだと思います。
「あの災禍からこんなに素晴らしい町に復興したのだ」と後世にまで誇りをもって長く残していきたい。どんなに時間がかかってでも、胸を張って世界に誇れる岩手をつくることが、お世話になった皆様への御礼と思っております。
輝く“みやぎ”は私たち中小企業家がつくる!
<宮城県中小企業家同友会>
代表理事・宮城同友会・東日本大震災復興支援本部 本部長 鍋島 孝敏
まず始めに、このたびの東日本大震災におきまして全国の同友会の皆さんより届けられた何処よりも早く大量の支援物資と、多額の義援金、さらにはe.doyuを中心とした熱いご声援に心から感謝申し上げます。
残念ながら、この度の大震災では宮城同友会会員5名の方の尊い命が奪われました。また、会員企業数の半数を超える約520社が、全壊・半壊もしくは一部損壊の直接被害を受けられました。3.11では何とも無かった内陸部の会員さんも、4月7日の2回目の大余震では社屋が痛んだりして、県庁所在地である仙台市も含めて宮城県全体が被災した、という大変な災害でした。
そんな中、宮城同友会として取り組んで来たさまざまなこと、すなわち第一段階としての事務局員の献身的な行動による会員、ご家族、社員の皆様の安否確認や全国同友会からの大量の支援物資の配送、第二段階としての会員企業の操業再開・企業再生に向けた「東日本大震災復興支援本部」からの情報発信、さらにはその先の「復興」=「第二創業」に向けての学びを深めた「定時総会」「各支部・エリア例会」や「企業経営革新セミナー」など、その集大成としての「経営研究集会」と「全国共同求人交流会」で確認できた事などを、記録としてまとめて歴史に残しておきたい、と考えていました。
今回、中同協がわれわれの要望に応えて記録集を作成していただけるとうかがい、心から感謝申し上げるものです。ある被災地の会員企業の社員さんが「社長、同友会に入っていて本当に良かったですね!」と言ってくれた、という印象的な出来事がありましたが「なぜ、同友会はそのような活動ができるのか」を検証する意味でも、貴重な記録集となることを信じて御礼のごあいさつといたします。
強い絆のもと、われら断じて滅びず! ~風化させないために全国に発信を~
<福島県中小企業家同友会>
理事長 安孫子 健一
3.11から早や1年が経とうとしていますが、当福島県は、震災、津波に加え、原発事故、さらには風評被害という四重苦の中にあり、震災は「現在進行形」のままであります。
非常事態が続く中、県内各地で見られたのは、中小企業がまさに地域存続の核となって、地域の暮らし、命を支え、社員と一丸となって奮闘する姿でした。「地域に生かされている」「福島が好きだからここを何とかしたい」「ここで企業活動を続けていこう」ということが多くの中小企業家の共通した思いです。
「中小企業は社会の主役」とうたわれた中小企業憲章の理念と「労使見解」の精神に則り、「雇用を守ろう」「地域を再生しよう」と多くの同友会員が福島県内の各地域で奮闘しています。震災からの復旧復興は、まさにこれからが正念場です。
風評被害も深刻ですが、今、この問題が「風化」することを非常に恐れています。「あれは福島だけの問題」と一つの地方の問題に押し込められてしまうのではないかと危惧しています。
被災自治体には、他県から職員が派遣されていますが、遠方の自治体から来たある職員は、普通の生活をしていることに驚いたと言っていたそうです。向こうでは、外出の時はみなマスクをして、防護しながら生活をしていると思っていたらしいのです。ところが実際に来てみると全然違うという訳です。
もっとあるがままの姿を、全国に発信していかなければと思います。われわれはやっているつもりでしたが、なかなか届かないという思いがあります。この震災記録集が、東日本大震災の風化させない拠り所となることを大いに期待します。
「強い絆のもと、われら断じて滅びず!」のスローガンのもと福島で開催される第42回中小企業問題全国研究集会に参集された全国同友の皆さん一人ひとりが「語り部」となり、福島のいまの元気な姿を日本全国に伝えていただくことを期待いたします。