腹を抱えて笑うのは何ヶ月ぶり
9月17日、陸前高田市マイヤ滝の里店に、宮崎県日向市から中小企業の社長さんや(宮崎同友会会員)や日向市の職員の方々、小さなお子さんを含め、総勢31名の「日向ひょっとこ踊り隊」が来訪、ユーモアな踊りを披露しました。腹を抱えて笑うのは何カ月ぶり・・・笑顔あふれる時間となりました。
陸前高田には、これまで沢山の歌い手さんや名の知れた往年のスポーツ選手が訪れ、疲弊した心を癒やしてくれました。でも「腹の底から笑うなんて・・・。まだまだそんな心境にならない」というのが本音でした。
自然と拍手がわき起こる
宮崎日向からの「ひょっとこ隊」はそんな雰囲気を吹き飛ばしてくれました。被害の大きかった沿岸のスーパーは今、地元の沢山のお客様から本当に頼りにされています。そんな折にもかかわらず、マイヤでは駐車場を囲い「お客さんから叱られるのを覚悟」(店長さん)して、会場をつくってくださいました。事前の告知に集まったのは30人。今か今かと到着を待つ中、バスが到着し、踊り隊が下りて来たときは、自然と拍手がわき起こり、楽しみにしていた様子がうかがえます。
やがて広がる踊りの輪
次々に降りてくる踊り手さん。皆ひょっとこの面をかぶり、真っ赤な衣装に白いふんどし姿で音楽に合わせて踊り始めます。子孫繁栄を願ったその踊りは、ユーモラスで、ついつい頬が緩みます。観客は最初のほほ笑みから、だんだん声を出して笑いはじめ、やがて腹を抱えて涙目になって笑う姿に。いつの間にか、お店で買い物をしていた人たちも集まり、100人ほどが囲む大きな輪になりました。小さな子どもの、大人の真似をして腰を振って踊る姿に、誰もが笑顔になっていきました。
そして会場の皆さんを巻き込んでの踊り教室に。最初は恥ずかしがってなかなか出てきません。でも踊り手さんに手を引っ張られ1人、2人・・・とだんだん前に出て来ていつの間にか、輪になり楽しそうに踊りはじめました。存分に笑って踊って、踊り終えた後は被っていたひょっとこのお面をお土産に、頭につけたまま皆嬉しそうに帰って行きました。
こんな日常がほしかったんだ
「お客さんから苦情が来るのを覚悟していましたが、誰もありませんでした。皆さんが笑顔と涙が一緒になって喜んでいる様子を見ることができて、本当によかった」
宮崎からおいでになった経営者。陸前高田の命を守る地元スーパー。地域への思いは皆一緒です。「こんな日常が欲しかったんだ・・・」つぶやくおばあさんの後ろ姿が、ほほ笑んでいるように見えました。
(岩手同友会ホームページより)