ニュース - シリーズ【復興-我われが牽引する】

福島同友会・岩手同友会・宮城同友会で定時総会開催

東日本大震災から3カ月、憲章制定1年

東日本大震災から3カ月が経過しました。被災地には全国から届けられた希望の種が植えられ、芽を出し、夢がふくらんでいます。

甚大な被害を受けた被災地では、仲間が震災からの復興を牽引し、「街の再生はわれわれがやるんだ」という熱い想いと行動は、地域全体に波及してきています。困難や難局を仲間とともに乗り越え、企業と地域の再生、復興に挑む姿は、感動をよび、熱い想いは共鳴して、地域から全国に広がっていきました。

2011 年6月18日は「中小企業憲章」が閣議決定され1年を迎えます。憲章前文にある「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である。常に時代の先駆けとして積極果敢に挑戦を続け、多くの難局に遭っても、これを乗り越えてきた」「日本の新しい未来を切り拓く上で不可欠である」の文言。被災地でたゆまぬ実践をしている中小企業家の魂は、同友会運動と中小企業憲章の精神と一体となって、社会に動きをつくりだしています。

震災からの復興、そして憲章の精神をいかに実践しているのか、被災地同友会の取り組み、会員企業の実践報告が福島、岩手、宮城の各定時総会でありました。この3カ月の震災後の取り組みを紹介します。

 

1社もつぶさない、つぶさせない【岩手】

田村代表理事

田村代表理事

中小企業家の総力を結集して、岩手の企業と地域の再生、復興に挑もう!

  5月26日、岩手同友会第21回定時総会がホテルメトロポリタン盛岡で開催されました。活動報告では、「震災後のわたしたちは、『1社もつぶさない、つぶさせない』をスローガンに掲げ、時には避難所をまわり、一人ひとりに『あきらめないで、共に企業と地域の復興を!』と呼びかけてまいりました。そこには県内各地であてにされて、頼られる同友会の姿がありました。“危機にこそ力を発揮する中小企業”として、この間、行動を起こしてきました。今こそ全会員が一丸となって、この未曾有の大震災を乗り越え、全ての会員企業の復興と、地域の再生に挑んでいかなければなりません」と決意を込めた報告がありました。その後、田村満代表理事・気仙支部長より実践報告がありました。その内容を紹介します。

【田村代表理事の実践報告】

■震災、その時

 あらためて御礼を申し上げます。全国各同友会だけでなく、岩手同友会のみなさまにも絶大な協力をいただきました。大変ありがとうございます。新潟同友会の協力にも感謝申し上げます。

 地震の時は、教習車にのっていました。ふらふら運転していて、下手だなあと思っていたら地震でした。地震直後、津波がくるということで高台にあるわが社の校舎、校庭に地域のみなさんが避難してきました。生徒、社員、地域の人たち総勢200名以上にもなりました。私のドライビングスクールは合宿での免許取得の事業をしていたため、食材も用意してありました。その日は本当に寒い日でしたが、みんなが校舎に入り、避難してきた方々に暖をとる場所と食事を提供することができました。

 不幸中の幸いと申しますか、私どもにとって幸運が続きました。地震は3月11日午後2時46分におきました。ちょうど3時が教習の入れかえの時間で、路上教習にでていたすべての教習車が校舎に帰ってきていました。地震がおきた時間が違っていれば、街なかで教習をしていました。また、3月は自動車免許取得の繁忙期となります。社員も全員出社していました。繁忙期でなければ、社員が休日で、自宅にいて、津波で流されていた可能性もありました。

 その後数日は全国各地から合宿免許にきていた生徒全員を、全社一丸となり、自宅に帰しました。電気もなく、電話もつながらず、ネットもつながりません。情報がまったくなく、単純に一関市にいけば新幹線が動いているだろうと思っていましたが、全ての交通網が遮断(しゃだん)されていて、生徒全員を送り届けるまでは大変でした。

■「全国の物資が陸前高田に届きます」

 そのことを終えて、生徒全員、社員全員が助かり、さて次は会社の建て直しをと考えていた矢先に、菊田事務局長より「全国の物資が陸前高田に届きます」という知らせがありました。すぐに陸前高田市の震災対策本部へ社員を行かせました。「全国から救援物資が届きます。被災者のみなさんに届けたい」と熱く訴えました。しかし、いい返事がきけませんでした。市役所も被災し、職員も多数行方不明という状況のなかで市も大変でした。社員は「うちのほうでやります!」と会社に帰ってきました。

 そこから、次の段階に進みます。「全国から物資が届く。どこに届けなくてはいけないか。避難所はどこか。何が足りないのか。避難所を全部調べなければならない」と社員に指示を出していたそんなときです。強い味方が現れました。八木澤商店の河野専務(現社長)が、わが社に来たのです。「よく生きてた」と抱き合いましたが、すぐに「全国の同友会の仲間が物資を送ってくる。八木澤商店の社員も集めてくれ、みんなを走らせてほしい」と陸前高田、大船渡にある避難所を社員に残り少ない燃料で調べてもらいました。

 結局避難所は110カ所にもなり、それぞれが不足している物資をリストにし、全国からの物資を待ちました。「ここは何が足りない、ここは何が足りない…」。本当に物資が不足していた避難所は30カ所でした。全国からの物資の第1便が17日に菊田事務局長が届けにきました。大量の物資です。避難所ごとに必要な物資が異なります。仕分けをしなければなりません。簡単に仕分けといいますが、いろんなものが混ざってきています。仕分けに1日かかりました。八木澤商店の社員はスゴイと思います。避難所を全部調べて、物資を届けました。

 そして、19日救援物資の第2陣が新潟を経由して、岩手同友会の仲間、新潟同友会の仲間から届けられました。思わず涙がでました。全国から届いた救援物資、そして同友会の仲間が物資を届けてくれたことに感動と感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 そこで、岩手同友会のメンバーと、「いま被災地に足りないのはトイレ、プレハブ、風呂、温水シャワーだ」と、その場で次の支援の取り組みを打ち合わせました。「水はでない。しかし近くに沢がある」「では、それを使いましょう」と、すぐに実行に移されました。

■われわれ、同友会がやっていくしかない

 さて、次にもう1つの仕事がありました。被災された方に物資を届け支援するという仕事から、「経営者」を援(たす)けるという仕事です。経営者の人たちを援けることは難しいと感じました。売上ゼロ、貯金ゼロの中で、解雇の嵐が出ました。解雇せざるを得ない状況でした。わが社ではすぐに「雇用は守る」と社員にいいました。

 その後、私と河野専務(現社長)と一緒に地元の企業に説得にまわりました。しかし、われわれには説得力がありませんでした。「雇用を守るための資金はどうするのか」といわれると説得力がないのです。残念ながら廃業した会社もあります。会社や工場など設備を立て直すのに、億単位の資金がいります。しかしながら、行政や金融機関もそれどころではありません。資金がないということに本当に悔しい思いをして、本当に苦しかったです。われわれ、同友会がやっていくしかないとあらためて思います。この間夜も寝られない状況が続きました。

 一方、明るい兆しも見えてきました。北海道同友会からは新入事務局員が支援に来ていただき、気仙支部の新入社員の合同入社式を行いました。本気になって被災地を支えようとしていたら、雇用を守ることが重要だと思います。雇用をどう守るかという視点で対応が遅れていることに悔しい思いをしています。1年後のことを考えると怖いと思っています。解雇された人たちの失業保険が終わったときにどうするかが課題です。雇用がない状況のなかで、どうするかが今後の私たちの課題であり、陸前高田の課題でもあります。同友会の連携で地域を再生していきたい。あらためて同友会には本当に感謝しています。

 

企業の復興と地域再生 にまい進しよう!―全会員が一丸となって【福島】

安孫子理事長

安孫子理事長

 福島同友会定時総会は5月18日、郡山市のホテルハマツを会場に開催されました。東日本大震災から2か月が経過、原子力発電所事故の収束がまだ見えない中での開催となりました。相双・いわき地区の参加者の中には避難移転先から仲間の顔を見て、情報交換をしたいとの想(おも)いで出席した方もあり、県内10 地区全部から会員236名の参加がありました。未曾有の経営危機の中、大震災から復興への同友会活動指針として、企業存続・地域再生・労使見解に基づき雇用を守る事などを柱にした方針を承認しました。以下に安孫子福島同友会理事長のあいさつを紹介します。

安孫子福島同友会 理事長のあいさつ

 福島県では、この大震災は復興段階ではなく「現在進行形」の中にあります。そうした困難な中で、総会にご参加いただき心より感謝申し上げます。

 大震災が発生し、地震・津波・原発事故・風評被害という4重苦の中、本県経済と会員企業は甚大な被害を受けながらも会員の皆さんは「会社を存続させる」「社員の生活と地域を守る」という強い信念のもと、事業を継続して下さいました。各地区会長をはじめ、御自身が被災されているにもかかわらず会員支援にしっかりと取り組んでいただきました。会員からは「同友会に入って良かった」という声が届いています。事務局員も会員の安否確認、経営支援策の情報収集・提供などに奔走してくれました。お陰で大混乱の中でも早い段階で全会員の無事を確認する事ができました。

 私たちは、この未曽有の大震災を乗り越え、全ての会員企業の復興と地域の再生に挑んでいかなくてはなりません。

 大震災復興への道のりは大変険しいものとなるかもしれませんが、今こそ全会員が一丸となってこの難局を乗り越え、「新しい福島県土創(づく)り」に邁進(まいしん)して参りましょう。

 

輝く“みやぎ”は私たち中小企業家がつくる! 【宮城】

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固い絆を結び、共に企業と地域の未来を描こう

5 月27日宮城同友会第38回定時総会が会場パレスへいあんにて開催されました。宮城同友会は会員数1007名のうち、全壊、半壊、一部損壊などの直接被害は520社以上にもおよびました。宮城県沿岸の支部から代表して「気仙沼支部」「石巻支部」「南三陸支部」の支部長より「地域の近況報告と皆様への御礼」として、報告ならびにメッセージがありました。

気仙沼支部長清水敏也氏

 地震当日は、本当に寒い日でした。そして、タンカーの油に引火した津波で市街地が火事になり、今でも赤く錆びた瓦礫があります。いつになったらなくなるのかと希望を失いそうになります。気仙沼支部の会員のほとんどが被害を受けました。その時に同友会の仲間から救援物資や応援の言葉などいただき、本当に助かり、勇気づけられました。今は、津波で商売がなくなった店主のみなさんも一歩一歩進んでいこうと復興の協会を立ち上げ、緊急雇用をすることができています。明日の仕事がある、することがあるというのが重要だと感じています。20メートルの津波がすべてを焼き尽くしました。すっかり変わり果てた町、何もできない無力感も感じますが、お互いに頑張っていきたいと思います。

 「あのさむさ忘れない。過去のものと風化させない」明るい思いでしあわせにくらせる海とともに生きる気仙沼の復興は、今はじまったばかりです。

石巻支部長大橋清勝氏

 「どう売り上げをあげていけばよいのか」、今はみなさんの知恵がほしいです。夢を見ながら、希望を持ちながら復興にむけて取り組んでいます。日本全体が被害を受けています。仕事は生きざまなので、自分にしかできないことに取り組み、後悔の無いようにしたいと決意しています。そして来年、こうなりましたよと、またここで会いたいと思います。今後とも支援をお願いします。

南三陸支部長山内正文氏

 先般の地震で南三陸町は地震、津波による甚大な被害を受け、町民の生活に必要な全てが失われ、命の綱であるライフラインも切断され、一時は生きることだけでも、精一杯な状況となりました。震災当時は町民の約8割強が避難所生活という状況におかれ、現在でも約300名の町民は避難生活が続いております。現在、町では「“住む”場所が見つからない」「働く場所がない」「“モノ”が購入できない」という状況で地域の疲弊はどんどん進んでいます。震災以前南三陸町では約1万7000人の人々が暮らしておりましたが、半年後には約半分にまで落ち込むと言われています。

 このような困難な状況が続く中で、われわれ、南三陸支部同友会会員が結集し「会社が流された、社員も亡くなった、社員や地域をどうしていくか」という議論を重ねた結果、「社員は俺たちが守っていくしかない、地域の中小企業が立ち上がらなければ、地域の復興もない」という結論となり、“福興市”(ふっこういち)を企画しました。この福興市の最大の目的は地域の雇用を守っていくということと、南三陸町民が、“ふるさと”を忘れず、自分自身が立ち上がるという希望を持ってもらうことです。初日には約8000人が来場し、私たち自身が大きな手ごたえを感じました。

 最後に今回の震災により、沿岸域は大きな被害を受けました。しかし被害を受けたのはわれわれだけではありません。今われわれに大切なことは、一人ひとりが主体者となり復興へ向けて進んでいくことだと思います。そしてこの状況を乗り越えることがやがては大きな「誇り」につながると思います。今こそ地域全ての住民と共に頑張ってまいります。

 

絶望の淵で希望を語る―阪神淡路大震災の教訓、岩手・宮城総会で講演 兵庫同友会 代表理事 田中信吾氏

田中代表理事

田中代表理事


 岩手同友会、宮城同友会では、阪神淡路大震災の教訓を学ぼうと、「絶望の淵で希望を語り、非常時の経営者の決断と実行はどうするのか、地域の復興、企業の再生はどうするのか」の内容で、兵庫同友会の田中代表理事に特別講演をお願いしました。

 田中代表は、宮城同友会の講演の中で、「昨日盛岡で講演させていただき、午前中、大船渡、陸前高田、気仙沼の被災地を拝見させていただいた。阪神淡路大震災のことを思い出し、熱い思いがこみ上げてきました。津波による瓦礫の山をみて、地震の怖さ、そして、津波の怖さを痛感しました。これからお話することは、『地域をもりあげるんや』と震災からの復興を共にやっていた仲間が倒れていくという、つらい話をする役としてお話をします。そして、5年後に笑顔で会いたい」と鬼気迫る迫力の講演を展開。

 田中代表は、「窮地の時に個人の価値観がでる。震災後の経営者の行動を振り返り、自分を見つめなおしてほしい。これから特需がなくなり、10年間は不況がくる。それに備え、起死回生の一発をうたないといけない。そのためには経営指針、とりわけ経営戦略、利益をあげるためにどうするか、ぜひ第二創業、第三創業に取り組んでほしい」と力説。最後に、「会社を残すことが最大の社会貢献」と結び、経営者の決断と行動を喚起する講演となりました。

「中小企業家しんぶん」 2011年 6月 15日号より

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